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「萌えビジネス」で学生が起業 久喜の19歳若林さん(Web埼玉より) アニメや漫画キャラクターを活用した「萌(も)えビジネス」に、1人のオタク大学生が参入した。久喜市栗橋東の若林福成さん(19)。9月に合同会社「福成」を設立、〝大学生社長〟として奮闘している。社員は社長だけ、自宅がオフィスという裸一貫からの出発。それでも「萌えで日本を元気にしたい」と、夢の大きさは誰にも負けない。  若林さんは高校3年の時、鉄道制服フィギュア・鉄道むすめの「栗橋みなみ」を活用した地域振興を提案。栗橋商工会と連携し、スタンプラリーや関連グッズの販売、声優を招いた夏祭りなどを実現させた。  若い力で企画を形にしてきた若林さんだが、「大人と交渉する中で、大学生という身分に限界を感じた」という。まちおこしを通して大勢の商売人とかかわり、「お客さん相手の仕事に魅力を感じた」のも起業を促した。昨秋から準備を始め、行政書士の助言から1人で設立できる合同会社を選択。貯金を崩して資本金10万円を捻出(ねんしゅつ)し、9月1日に念願を果たした。  業務内容はキャラクター商品の開発やイベントの運営が中心。既に具体化している事業もある。鷲宮商工会青年部が11月28日に主催するオタク向けの婚活イベント「オタ婚活」では企画段階から携わっている。  今後は野菜の販売や農業代行も手掛ける予定。「深谷のネギや吉見のイチゴなど、埼玉は農業が盛ん。農産物の包装にかわいいキャラを使って話題を集め、相乗効果を生み出したい」。肝心のキャラは関西在住のイラストレーターに依頼。県内の「道の駅」を営業に回るほか、さいたま市内の障害者施設からもイメージキャラ製作の打診を受けているという。  ただ、学業との両立は予想以上に大変らしく、「睡眠時間が3時間に減った」と目をこする。そんな若林さんを支えるのが、無報酬で協力する5人の仲間だ。「自分のやりたいことに合致していた」と話すのは、会社のホームページを運営する山梨県都留市の大学生村木伊織さん(22)。北海道の大学院へ進学が決まっているが、「大学院を出たら正式に入社したい。そのためにも会社を存続させなければ」と力を込める。  実際、経営は厳しい。現在のところ売り上げはゼロ。無給で働いても、法人税など運営費だけで年間40万円近くかかる。周囲からは「失敗して借金したらどうする?」と心配する声も。だが、若林さんは「自分が楽しみ、周りを楽しませることができれば、結果はついてくる」と楽観的だ。  周囲から地域、全国へと活動の場を広げていきたいと語る若林さん。目指すは萌え文化の格差是正という。「秋葉原に行かないとできない体験を、地方でも味わえるようにする。それが自分にできる日本の活性化です」  合同会社「福成」のホームページは(http://fukunari.web.fc.2.com) ■萌えビジネス  アニメや漫画キャラクターへの愛情を示す「萌え」をキーワードにした商品やサービス。オタク層の購買意欲を刺激するために美少女キャラが多く用いられ、顧客開拓の手法として注目されている。オタク文化の中心・秋葉原で活発だが、イラストレーター西又葵さんの絵を袋に描いた秋田県JA羽後の「あきたこまち」のように、最近は地方にも広がりつつある。
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